為せば成るの続きと真意とは?上杉鷹山と武田信玄の言葉を徹底解説
座右の銘やスピーチの定番として、世代を超えて親しまれている名言「為せば成る」。新しい挑戦に踏み出す背中を押してくれる力強い言葉ですが、その後に続くフレーズや、言葉が生まれた歴史的背景まで正確に把握している人は多くありません。
この言葉は単なる「気合で乗り切れ」という根性論ではなく、極めて合理的かつ実践的なリーダーシップと行動哲学に裏打ちされています。名君として知られる米沢藩主・上杉鷹山と、戦国武将の武田信玄にまつわる由来、現代人が誤解しがちな本来の真意、さらにビジネスで役立つ類語や英語表現まで詳しく紐解いていきます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「為せば成る」の続きは「為さねば成らぬ何事も ならぬは人の為さぬなりけり」であり、行動することの覚悟を説いた歌。
- 要点2:米沢藩を再生させた上杉鷹山が広めた歌として有名だが、原典には戦国武将・武田信玄の教えが存在する。
- 要点3:「願えば叶う」という精神論ではなく、「できないのは本気で実行していないからだ」という自責の行動哲学を表している。
【完全版】「為せば成る」の続きとは?知っておくべき全文の意味
「為せば成る」というフレーズは、本来ひとつの短歌形式で作られた教訓歌の前半部分です。全文は以下の通りです。
「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も ならぬは人の 為さぬなりけり」
(なせばなる なさねばならぬ なにごとも ならぬはひとの なさぬなりけり)
この歌を現代語にわかりやすく分解すると、次のような意味になります。
・為せば成る(やればできる):どんなことでも、強い意志を持って実行すれば成し遂げられる。
・為さねば成らぬ(やらなければできない):行動を起こさなければ、何事も達成することはできない。
・何事も(どんな物事であっても):世の中のすべての事柄において例外はない。
・ならぬは人の為さぬなりけり(できないのは人がやらないからだ):途中で失敗したり実現しなかったりするのは、才能や環境のせいではなく、人が本気で行動していないからにほかならない。
全文を通読すると、単に「努力は報われる」と励ましているだけでなく、「できない理由を外に探すな」という厳しい戒めのニュアンスが含まれていることが分かります。
誰の言葉?由来と歴史|上杉鷹山と武田信玄の決定的な関係
「為せば成る」は誰の言葉なのかという疑問に対し、歴史的には上杉鷹山(うえすぎ ようざん)と武田信玄の2人の名が必ず挙がります。結論から言えば、現代に知られる歌の形にして家臣に伝えたのは上杉鷹山であり、その着想の元となったのが武田信玄の歌でした。
江戸時代中期、破綻寸前だった出羽国米沢藩(現在の山形県米沢市周辺)の第9代藩主に就任した上杉鷹山は、徹底した質素倹約と産業振興を推し進め、見事に藩の財政を立て直しました。鷹山が次代の藩主・上杉治広に家督を譲る際、藩政改革に立ち向かう心構えとして授けたのが「為せば成る…」の教訓歌です。財政破綻という絶望的な危機を、不屈の実行力で乗り越えた鷹山の実体験が込められているからこそ、この言葉には圧倒的な説得力が宿っています。
一方で、鷹山より約200年早い戦国時代、甲斐国の名将・武田信玄も非常によく似た以下の歌を残しています。
「為せば成る 為さねば成らぬ 成る業を 成らぬと捨つる 人のはかなさ」
(やればできることも、初めからできないと諦めて捨ててしまう人間の心の弱さ・儚さを嘆いた歌)
信玄の歌もまた、古代中国の思想書『書経』にある「為せばこれ成る」という言葉にルーツを持つとされています。信玄が残した武士の精神訓を、鷹山が「ならぬは人の為さぬなりけり」とさらに研ぎ澄まし、後世に残る名言へと昇華させました。
単なる根性論ではない!現代人が誤解しがちな「為せば成る」の真意
日常会話やスポーツの指導などで「為せば成る」が引用される際、「気合で挑めば不可能はない」「ポジティブに願えば叶う」といった精神論として解釈されるケースが目立ちます。しかし、本来の文脈は真逆と言えます。
上杉鷹山が直面していた米沢藩の現実は、領民が飢え、莫大な借金を抱え、重臣たちからも改革を反対される四面楚歌の状況でした。鷹山が行ったのは、ただ願うことではなく、荒れ地を開墾し、特産品(絹織物や米沢鯉など)を育て、自ら一汁一菜の質素な生活を徹底するという泥臭く緻密な実務の積み重ねです。
つまり「為せば成る」の本質とは、無謀な夢を盲信することではなく、「できる方法を徹底的に考え抜き、途中で諦めずに行動し続ける当事者意識(オーナーシップ)」を指します。うまくいかないときに「景気が悪いから」「環境に恵まれないから」と他責にする姿勢を強く戒める、極めて現実的な行動哲学です。
ビジネスや日常での正しい使い方|座右の銘に選ばれる理由と例文
「為せば成る」は、自らを律する座右の銘として、また困難な目標に挑むチームの共通指針として幅広く活用できます。面接の自己PRやスピーチで使う際は、単なるスローガンに終わらせず、「どのような行動を起こして困難を打開したか」という具体エピソードを添えることで説得力が増します。
【ビジネス・面接での活用例文】
・「私の座右の銘は『為せば成る』です。前職の新規事業立ち上げでは前例のない課題が山積みでしたが、諦めずに対策を講じ続けた結果、黒字化を達成しました」
・「難しいプロジェクトですが、『為せば成る』の気概を持って、まずは小さな検証から泥臭く実行に移していきましょう」
【使用時の注意点】
この言葉は本来、「自分自身の覚悟を固めるための言葉」です。他者や部下に対して「為せば成るのだから、できないのは君の努力が足りないせいだ」と頭ごなしにぶつけると、過度な精神論の押し付けになりかねません。他者を鼓舞する際も、実現可能な仕組みづくりとセットで伝える配慮が欠かせません。
「為せば成る」の類語・対義語と英語表現|グローバルにも通じる知恵
同じような教訓を伝えることわざや四字熟語、英語表現を整理しておくことで、コミュニケーションの幅が一段と広がります。
【類語・同義のことわざ】
・一念岩をも通す(いちねんいわをもとおす):どんなに困難なことでも、強い決意で取り組めば必ず成就することのたとえ。
・精神一到何事か成らざらん(せいしんいっとうなにごとかならざらん):精神を集中して全力を注げば、成し遂げられないことはないという意味。
・意志あるところに道は開ける(いしあるところにみちはひらける):エイブラハム・リンカーンの言葉としても名高い格言。
【対義語・反対の意味を持つ表現】
・無理が通れば道理引っ込む:道理に合わないことがまかり通ると、正しい道理が行われなくなること。
・絵に描いた餅:いくら立派でも実際には役に立たない計画のたとえ。
【英語での表現】
・Where there's a will, there's a way.
(意志あるところに道はある=「為せば成る」に最も近い定番の格言)
・If you set your mind to it, you can accomplish anything.
(心を決めさえすれば、どんなことでも成し遂げられる)
・Nothing is impossible to a willing heart.
(やる気がある心にとって、不可能なことは何もない)
【為せば成る】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「為せば成る」の最も正確な読み方と送り仮名は?
A1:読み方は「なせばなる」です。漢字表記は「為せば成る」が一般的ですが、歴史的な文献や公用文では送り仮名を省いた「為せば成る」や、ひらがな表記の「なせばなる」も広く使用されます。
Q2:上杉鷹山と武田信玄、座右の銘にするならどちらの言葉と説明すべき?
A2:広く親しまれている「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も…」の全文を引用する場合は、「上杉鷹山の言葉(教訓歌)」と説明するのが最も自然で正確です。より歴史的な深みを伝えたい場合には、「戦国時代の武田信玄の歌を鷹山が受け継いだ」と補足すると好印象を与えられます。
Q3:「為せば成る」を就職活動の自己PRで使う際の注意点は?
A3:言葉自体が非常に有名であるため、ただ「為せば成るをモットーに頑張ります」と伝えるだけでは面接官の印象に残りません。「困難に直面した際、他人のせいにせず自ら仮説を立てて行動した具体的なエピソード」と結びつけることが重要です。
まとめ:主体的な一歩を踏み出すための行動哲学として
「為せば成る」という言葉は、安易な楽観論でも理不尽な根性論でもありません。困難な局面に立たされたとき、人はどうしても「自分には才能がない」「環境が整っていない」とできない理由を探してしまいがちです。
江戸時代の破綻した藩を蘇らせた上杉鷹山の足跡が示すように、道を切り拓く唯一の手段は「まず自分が行動を起こし、諦めずにやり抜くこと」にあります。日々の仕事や学びの中で迷いが生じたとき、この言葉の全文を思い出し、主体的な一歩を踏み出す指針として活用してみてはいかがでしょうか。 (出典: 為 せ ば 成る(Yahoo!ニュース))